20050916〜24 in Arizona

 長年の友、アメリカ人のLisaとは出合ってから17年。毎年必ず会うことになってます。今年も遅い夏休みでアメリカへ。
 しかし、今年は今までのシアトルから打って変わって行ったことがないアリゾナ州。長い間音楽ビジネスをやっていたLisaが心機一転会社を辞め、新しい場所でニュービジネスを展開するために突然アリゾナのモンテズマというところに家を買い、引っ越したから。決断してからアリゾナに飛んで家を買うまでにたった3日間!まだバブル景気のアメリカらしく、シアトルのコンドミニアムも売りに出して3日でいい値段で売却できたという。しかし、なんと勇敢な決断。私は環境が変わるのが苦手なほうなので、とてもまねができません。

 しかし、今回の旅は飛行機に関してはトラブル続きでした。バタバタと旅の準備をして無事飛行機に乗れたと思ったら、飛行機の空調が壊れたので成田に引き返すことに。成田に戻る前にガソリンを空から捨てるために2時間くらい飛行機は旋回してやっと成田にランディングすると、空港は緊急着陸体勢で消防車や救急車がたくさん待機してた…。なんかデジャヴ…。昔母を連れてイタリア旅行に行った帰りの飛行機が離陸した途端すごい爆音が聞こえて第2エンジンが火を噴いたことがあるだけど、その時もガソリンを撒いてから空港に引き返しました。フライトアテンダントはいたって冷静ににこやかだったけれど、無事着陸した後に「実は緊急着陸で覚悟してました」と言われたことがあります(それ聞いて初めてガクブル)。

 イタリアの時ほど恐怖もなく「あーあ戻るのか…」ってくらいの感覚だったんだけど、成田に着陸してからがひどい。空調が壊れてるのに飛行機から出してくれない!30分ごとに「あと15分くらいで新しい情報をお伝えします」と機長が繰り返すだけ。暑い飛行機の中に閉じ込められてだんだん乗客も苛立ってくる。「今修理中ですから」と言うけれど、そんなすぐに直るの〜?だいたい何故外に出してくれない?…もしかしてハイジャックされてるとか!?と、夫とふたりで本気で思ったくらい…。 2時間を超え、みんながいい加減怒り出しそうになってやっと飛行機から出してくれた。ああ、やっと涼しい空気!最初からさっさと出せよーと思うも、それからまた数時間空港内で待たされることに…。で、結局出た答えは「今日は飛べません。成田のホテル用意するんで明日飛びます」だって…。

 それはいいんだけど、対応がめちゃくちゃ悪い。何百人もの乗客の対応にふたりくらいしか係員がいない。ホテルへのバスに乗るのはどこ? あしたのフライトは? トランジットがある人はどうすればいいの? という様々な質問が誰もできず、ただただ混乱。やっとバスに乗ってホテルに着いたのは夜の11時。フライト予定は3時半。なんという時間の無駄!ホテルに向うバスの中ではアメリカ人の乗客がみんなで「このままハワイにでも連れてけ〜」とか冗談飛ばしてましたが、さすがにみんなへとへとでした。

 ホテルに泊まるのはいいけど、航空会社は「明日のフライトにそのまま積み込む」という理由でバゲージを渡してくれない。着替えもないまま一泊…。わびしい一日でした。とにかくLisaにメールってことで、今日は着かないことと、航空会社が再アレンジしてくれた国内便のフライトナンバーをメール。次の日。さあ、今度こそアリゾナに向ってGO!ってことでなんとかLAに到着。

 しかし!トランジットの時間が1時間ちょっとしかない。元々混んでるアメリカのイミグレーション、911の後はさらに厳しくなって長蛇の列。係員のおじさんに「すみません! トランジット間に合わないと思うんですけど」と主張するも、「大丈夫大丈夫〜」とニコニコするだけ。んなわけないだろー。と思いつつ仕方なくおとなしく並んでイミグレを抜けて、今度は国内便のセキュリティチェック!……ここも長蛇の列…orz 散々荷物調べて靴まで脱いで身体も調べられてる間、「〇〇時〇〇分のフライト間に合います?」と聞くと、チェック係りの人「あ、そりゃ、絶対無理だね〜」だと。「ゲートはどこ?」って聞くから「81ゲート」と答えたら、「あ、それは全く無理。建物のいちばーん遠い遥か向こうだもん」だって…(;;) 「とにかく走れ!」って言われたんでふたりで大きなLAの空港内を走り抜けましたよ。心臓飛び出るくらい。…でもゲートに着いたら「CLOSED」の文字… orz orz orz

 で次のフェニックス行きの便を取ってもらってLisaに電話したら、彼女はすでにフェニックスに向う車の中。でも何故か驚きもせず、「飛行機乗り遅れたんでしょ?」という。「うん。なんでわかる?」と聞いたら、「フライトの時間聞いて絶対無理だと思ったもの。あんな短い間で飛行機乗換えができるわけがない。いったいなんだってあんなフライトをアレンジしたのか理解不能!さすがユナイティッド!」だって。むむう。航空会社選ぶの間違えた…。おまけにフェニックスについたらバゲージが行方不明…(;Д;) バゲージマネージメントの人に問い合わすも、コンピュータかちゃかちゃやって、「うーん、どこにあるのかわかんない」だとぉ。Lisa、「…さすがユナイティッド!」。とりあえず見つかったらLisaの家に必ず配達するってことでそれを信じて空港を出ることに。

 なんとかアリゾナ州フェニックス空港に一日遅れで着くことができたけど、バゲージは…とまだ心配。で、降りたら暑い!!空気がめちゃくちゃ乾いてる! (アリゾナについての知識皆無で行った)。Lisaの家はフェニックスから車でさらに2時間弱。いやあ、長い旅だわ…。文章も長くなっちゃったよ…。

 

Lisaの新しい家

とても素敵なお家。だけど…。周りが…何もないぞー(汗) お隣さん遠すぎ…。着いた瞬間、内心「えらい所に来ちゃったな…」と思った。

Lisaの家の周り

…うーん、みごとに何もない!一番近い食べ物屋さんまで車で15分だって…。すぐ近くは国立公園。コヨーテも鹿もガラガラ蛇もうさぎもスカンクもなんでもいるらしいぞ…(汗)

Lisaの猫セイディ

かわいいふとっちょの猫!玄関の外にいると、いつも窓から覗いてくる。コヨーテに襲われるので猫は完全室内飼い。窓の外に映ってるのは私。

窓を覗くセイディ

…かわいい!

ゲストルームのドアに貼ってあった写真

私たちのためのゲストルーム(バスルームも別。さすがアメリカ)のドアにこんな写真が…。この部屋は普段はセイディがこんなふうに居座っているらしい。最高の写真です。私たちが部屋を取ってしまったので、しばらくセイディに冷たくされる…。

ファイアープレイス

家を買った時はなかったけれど、ファイアープレイスがないとダメというLisa。わざわざ作ったそうな。ペイントは自分で。素敵です。

部屋の中

センスがよくて落ち着く家具と間取り。ピカピカの新居。中はとても快適であります。

猫たち

普段Lisaが仕事に出かけている間、猫たちはお留守番。もう一匹はナイジェルという英国風の名前のオス猫(歩き方がエレガントなので英国風の名前にしたらしい)。とっても甘えん坊ですぐなついてくれました。

無理矢理抱きっ

猫を触らずにはいられない私め。嫌がるセイディを抱いてしまいました。ごめんなさい。3日目くらいからすっかり慣れてくれたけど。太り方と顔の丸さが、うちのまめを彷彿とさせ、すでに猫シック…。

次の日…

Lisaが出かけている間、Lisaの寝室から出てこないセイディ。……うーん、ごめんよ。邪魔者が部屋を取るわ、うるさいわ、だよね…。でも半分顔をのぞかせてるのがかわいい。


 アリゾナに着いて最初の晩もまた、成田のホテルと同じく悲惨な私たちでありました。夜になってもバゲージがみつからない(;;) また同じ下着着て寝るの〜?(涙) もういや…。着替えはないわ洗面道具はないわ、めちゃくちゃ落ち着かない。…と、だんだん航空会社に本気で腹立ってきてクレームの電話しようかと思ったけど真夜中なので何もできない…。が、次の早朝、それも朝5時に電話があって無事バゲージ到着!しかし…。朝5時に電話で起こされ、運転手に「家がどこだかわからないー」と泣きを入れられ、外まで出て誘導するハメになったLisaはさらに立腹。「さすがユナイディッド!!United Sucks!!」(なんて…固有名詞出して文句はまずいかしら…?(汗) でも本当にひどいんですもんね…。Lisaは早く起こされたのでその日半日はマジで怒っていた…。申し訳ない…。

 最初の2日間はLisaの仕事があるので、私と夫は猫と共に家でお留守番。…これが、なんというか、退屈というかやることがない…!車がない私たちは、砂漠の真ん中の一軒家に軟禁状態…(ふと『ミザリー』を思い出す)。それでもなんとか近くの国立公園までふたりで歩いてみるも、すごい暑さとドライな空気。ガラガラヘビが怖いからヤブの中に入れないし。そこらへんの草むらに火をつけたら、あっという間に燃え上がりそうなくらい空気が乾いてる。汗はかくそばから蒸発してく…すごい。ここでは外で火を扱うことは(タバコも含めて)法律違反。しょっちゅう山火事があるらしい。実際、滞在中毎日遠くの山のどこかから火があがってました(汗)

 夫はアリゾナ行きが決まった直後からこういう状況を想定して、なにやらいっぱい専門書を持ってきていて家でひたすらお勉強。うーん、私は何をすればいいんだ(汗) 猫と遊んだり、外をぼーっと眺めたり、ダイアルアップでネットを覗くくらいしかやることがない!誰か、ここから脱出させて〜(涙)と、ちょっと思った。でも夜はポーチの椅子に座って夜空を見るのが楽しみでした。とってもとってもきれい…。「スティーブン・キングの小説世界みたい」と(私としてはうっとりして)言ったら、ホラー嫌いのLisaに「私はここでひとりで暮らしてるのに!そんな感想言ってくれてありがとう。あんたが帰った後が楽しいわ」と嫌味言われた…。ええ、スティーブン;キング、そんな怖くないじゃん…と思いつつも、「いや…(汗) だからね、こういうカントリーサイドに来たことないから、こういうシンとした広大な場所でこそ、想像力が膨らむんだと思うよ。作家が田舎に引きこもって創作する気持ちがわかるって意味だよぉ」と説明したら「確かにそれはあるわね」と一応納得してくれた(ほっ)。いや、実際、こんなしんとした何もない場所で夜、空や森をみつめてたら、いくらでもファンタジックな妄想が湧き出てきそうな気がしたのです。実際、ロマンチックだったし…。

 …ということで3日目、Lisaがオフになって晴れて外出!!!今日は昔銅山で栄えて、一時期は誰もいなくなりゴーストタウンと呼ばれて有名だったけれど、観光地として再生したジェロームという町に行くことに。やっと、アリゾナを観光できますよ!…しかし、広大な国だ。地平線だらけ。空は飽くまで美しいけど…。

 

やっと軟禁解除!

Lisaの車でやっと外に出る。うーん、これがアメリカなのだな…。LAとかNYとか都市部しか行ったことのない私には、映画でしか見たことのない風景。ふと『バグダット・カフェ』という名画を思い出す。

空がきれい!

車の中から取った風景。

こういう道路が続きます

アメリカっぽい風景です。映画で山ほど見たけれど、リアルで感じるのはまた違う。

途中で寄った展望台

崖の向こうにセドナが見えます。まだどんな町が知らないので、Lisaが説明してくれても「ふーん」と思っただけ。

崖が好き

木登りも好きだけど、崖とか上ったり降りたりするのもかなり好きな私。切り立った崖を見るだけでうっとり…。なんでだろう。

ジェロームの町に到着

本当に小さい集落です。といっても来る途中に建物がたった3軒しかない「町」もあったので、十分町と言える。山のてっぺんに町の名前の頭文字「J」が見えます。

ジェローム

元銅山、そして元ゴーストタウンらしく、昔ながらの建物が多くほとんどボロボロで屋根が崩れてたりする家も…。しかし、そのゴーストタウン風情がこの町の観光ポイントなので、修復は許可が要るか、もしくはそのままにしてるらしいです。

西部劇みたいな感じ

確かに西部劇の舞台でもあった州なので、こういう町の風景もオールド・ウェスタンな雰囲気を保っているかも。

銅山の名残

銅を採掘するためにやってきた人たちの作業場だった場所。銅山に関連した建物は朽ち果てそうなまま保存されていて侵入不可。真ん中のほったて小屋はトイレ。

トイレの穴にコインを入れろ!

作業場の真ん中にある古いトイレ。よく見ると周りにコインがいっぱい。柵のこちらからトイレの穴に目掛けてコインを入れるといいことがあるらしい。しかしトイレの穴だよ…。

崩れそう…

ジェロームの町はこういう家がたくさん。崩れかけたままにするというのが、町の人たちの断固たるこだわりなんだそうです。

町の風景

小さな町なので歩いて15分くらいでみんな見ることができます。

ジェロームの「J

アメリカの町は山に町の名前を記すところってけっこうありますね。映画でしか見たことないけど。

昔からあったお店…?

なんか風格があります。銅山として栄えた当時からあったお店なんでしょう。町自体がのんびりしてていいです。

ジェロームの高台

高台に上って見る風景。しかし空がきれい。

食った食った…

広大な風景を見渡せる外のテーブルで、でっかいハンバーガーを食べて大満足の私とLisa。しかし、毎回思うけどアメリカの一皿は大きすぎ!アンドレ・ザ・ジャイアント(古い?)並みの人と私みたいにちっちゃい人も同じ大きさの食べ物とは…。

レストランからの風景

遠くにセドナが見えます。明日あそこに行くのだー!わくわく。

映画サイコみたい!?

ジェロームの町の高台に向うとぽつんと建っている古いホテルが!ジェローム・グランド・ホテル。銅山時代は病院だった建物。裏側とかボロボロです。中はゴージャスらしいけど…。

ホテルにさらに近づく

元病院だったっての聞いた途端、このホテルはホラーの舞台としか思えなくなった私。実際、このホテルに泊まると誰もいない部屋から話し声や叫び声か聞こえるという。みんな、考えることは同じね…。

夕暮れの中のホテル

夕暮れが近づいて、またもやホテルを撮影。ますますホラーな雰囲気が!ここで映画作ってほしいなあ。しかし幽霊話が出るわりに、人気のホテルだそうです。

ジェロームから眺める夕日

…ああ、アリゾナに来てよかったあ。と、この風景見た途端思いました。あまりに美しい…。自然の雄大さに圧倒されます。

ジェローム銅山跡

町のはずれをさらに進むと元銅山跡が。右には「ゴーストタウン」という標識。左は「5時半以降この中に侵入すると死ぬぞ!」という脅かしの文句が…((((((;゚Д゚)))))) マジですか。

銅山採掘場後

材木の陰になっちゃったけれど、朽ち果てた小屋が採掘された山の間にたくさん残っていて、確かにゴーストタウンでありました。ちょっと本気で怖くなってきたのでここで退散。


 ということで、ジェロームの町を堪能してきました。この町だけでもすごく楽しかったけれど、次の日、私と夫はセドナの圧倒的な美しさに呆然とするのでありました。

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