Self Control
(方舟に曳かれて)
(c) Mitsuko Komuro

君を連れ去る車を見送って
追いかけることさえできなかったあの夜
全てを許す 消えそうな横顔
窓ごしに映って せつなく手を振ってる

言いたいことも うまく言えなかった
このままサヨナラをする訳にはいかない
心の中にたかまってくリズム
もう押さえることはできないさ

しばられたアダムとイブ
走り抜けたボニー&クライド
大切なあの子の目を
これ以上 くもらせないで

Self Control 今までのぼくは
Self Control 本当の悲しみ
Self Control 知らずにいたのさ
Self Control 君に会うまでは
Self Control 自由のナイフで
Self Control とらわれた心を
Self Control 粉々にするさ
Self Control バラバラにするさ

見えない明日に迷う時は
ノアの方舟で二人こぎ出してゆく
Self Control

今ならきっと間に合うはずだから
悲しみに閉ざした君のドアをたたくよ
素直なままに流れる その髪に
もう一度この指を触れさせて

しばられたアダムとイブ
走り抜けたボニー&クライド
大切なあの子の目を
これ以上 くもらせないで

Self Control 教科書は何も
Self Control 教えてはくれない
Self Control 明日のことなど
Self Control 誰もわからない
Self Control おもいきり泣いて
Self Control おもいきり笑って
Self Control 君をとりもどせ
Self Control 夢をとりもどせ

最後のエデンに君の笑顔
あきらめかけてた ぼくを励ましていた
Self Control

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


この曲を聴くと、なんとも言えない気持ちがわきあがってきて、胸がきゅっとします。TM との仕事を続けていくにつれ、私もどんどん、スタッフのような気持ちになっていきました。もっともっと、いろんな人に、たくさんの人に、彼らの曲を聴いてもらいたいと、願うようになりました。私はもともと人見知りだし、お酒が飲めないのでつきあいも悪い(というか出無精なの)せいか、音楽関係で友達は少ないです。その中で、やはり、TMのメンバーには、いまだに同志的な気持ちを持っています。この「Self Control」が、TMとして初めてヒットチャートを上ったとき、本当に嬉しかったです。しかし、この曲を書くときは、まだ悪戦苦闘していて、エピックのプロデューサー小坂氏に、かなりアドバイスを受けて、書き上げました。私なりの作詞法を身につけるのは、まだまだ先のことでした。

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All-Right All-Night
(No Tears No Blood)
(c) Mitsuko Komuro

地上に向けて星が降ちてく
祈りにかえる光を放ちながら
こんな綺麗な夜があるのを
人はいつも忘れてしまっているね

破れたシャツとやせたうなじと
夢も知らない瞳の子供たちは
ただひとつだけ教えてくれる
争うために生まれてきたんじゃない

はるかなあの空に 両手を伸ばしてた
幼い頃に望んだように
愛するときめき手に入れた あの日を忘れない

All-Right All-Night
No Tears No Blood
All-Right All-Night
悲しみと傷みと苦しみと憎しみ
All-Right All-Night
No Tears No Blood
All-Right All-Night
きっと今夜君ならば間違いと言えるさ

地上に向けて星が降ちてく
生命を満たす光を放ちながら
You gotta night You gotta chance
闇の中でも
目を閉じないで答を捜しだすよ

海の向こうから せまる叫び声に
誰もが気づきはじめている
愛するときめき手にいれた あの日を忘れない

All-Right All-Night
No Tears No Blood
All-Right All-Night
ただ優しさだけじゃ取り戻せないから
All-Right All-Night
No Tears No Blood
All-Right All-Night
きっと今夜君ならば間違いと言えるさ

All-Right All-Night
No Tears No Blood
All-Right All-Night
悲しみと傷みと苦しみと憎しみ
All-Right All-Night
No Tears No Blood
All-Right All-Night
きっと今夜君ならば間違いと言えるさ

All-Right All-Night
No Tears No Blood
All-Right All-Night

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


けっこう大げさなテーマです(笑) 日本って、つくづく平和な国だなあと思うので、危険の感覚ってのを忘れがち。のちのちイギリスにハマって、何度もそこに訪れた時、それこそ戦争難民の人たちと話をしたりする機会があって、いろいろ自分で反省してました。危機感がない自分を……。そういう気持ちを詩に書くのはむずかしいんだけど、TM の音楽だからこそ、トライできたのかも。そういうトライができるってことでは、TM の作詞で相当楽しませてもらいました。アイドル、アニメのテーマソング、その他のバンド、いろいろと作詞をしてきましたが、自由な発想で、自由に書けるという意味では、TM ほど楽しいバンドはなかったです。毎回、音作りに挑戦がある。ミュージシャンとしても、かなり参考になりました。

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Fighting
(君のファイティング)
(c) Mitsuko Komuro

頬を切りつける 凍えた風の中
夜明けを待ちながら 背中丸めてた
追いかけてた夢に 裏切られたあの日は
温もりより寒さに真実があるように思えた

無邪気な微笑み 忘れた友達
誰も傷つくまで痛みを知らない
強くなりたいと泣いたあいつの声に
似てる夜のサイレン耳をかたむけて
乗り越えてゆきたいから

I don't know what you're dreaming tonight
(君が今夜何を夢見てるのかは知らない)
たとえ一人でも
It's a fighting, I can give it to you
(君に与えられることは 闘い それだけ)
口ずさんでいた
君の闘いの歌 闇にひびいてゆけ
易(たや)すい明日 求めていないから 君の Fighting

爪がささる程 手を握りしめて
激しい雨の中 立ち尽くしていた
生きてる時間を 増やしてゆくだけで
大人になれるって そんな生き方は
もうできないはずだから

I don't know what you're dreaming tonight
たとえ一人でも
It's a fighting, I can give it to you
口ずさんでいた
君の闘いの歌 闇にひびいてゆけ
涙はいつも繰り返しじゃないさ 君の Fighting

聞こえてくるね 街のどこかで同じ歌声
I don't know what you're dreaming tonight
たとえ一人でも
It's a fighting, I can give it to you
口ずさんでいた

君の闘いの歌 闇に ひびいてゆけ

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


私の歌には「戦う」または「闘う」って言葉が多いです。別に好戦的な性格ではないんだけど(^^; 私の闘いは、ほぼ全部自分とのもの。「苦労」ってのとは、また違う。自分が先に進むための闘いっていうんでしょうか。「努力」ってのとも違う。そういうのは、なるべくしたくないです。苦手な数学をわざわざ勉強しないのと同じ。好きなことをどんどん追求して、学ぶのは、実は楽しいことなので、それを「努力」とは言わないってだけ。好きなことだから、続けられる。挫折や屈辱的敗退ってのを越えてきた人はカッコいいです。野茂、アガシ、サンプラス……などなど、尊敬してしまいます。特にひとりで大リーグに行った野茂は、永遠のヒーローです。マイナーに落ちたとたん、「落ち目の野茂」と書き立てた日本のマスコミを、今でも許せません。 ドジャーズで成し遂げたことだけでも、どれだけ私たちに夢を与えてくれたか…。それを忘れるなんて、むっかー。日本のためではなく、ただ自分のために、かの土地に行った人。人とのコミュニケーションが下手で、依怙地で、頑固で…。そういうところがまた愛らしい。アガシのすてきなところは、決してえらぶらないとこ。いつも、真摯。今年のフレンチ・オープンは泣かされました。……て、いったいなんの話だったんだっけ。大脱線。

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Time Passed Me By
(夜の芝生)
(c) Mitsuko Komuro

淡いドレスの影が裸足で
テラスに降りたってく
Running Step like a boy
(男の子のように 走る足元)
白いくるぶしがはずんでいた
夜の芝生を照らす Moonlight

覚えているよ 幼い夏の日
はじめて君と会った
ひざを出して高い木に登り
僕のこと 見おろしていた
男の子のように笑う In the tree

Time passed me by
(時が行き過ぎる)
髪をほどいて振り返る君は今
ほほえみ方も違う

Far away (はるか遠くに)
時間の魔法にかけられて
大人になってゆく
Fairy (妖精)
それ以上綺麗にならないで
I'm waiting for you, look into my eyes
(僕は君を待っている この目をみつめて)

白いTシャツ ラバーソウルの
シューズをはいていた頃
Runnig Step like a boy
誰よりも早く駆けだして
君はあの時 男の子のように泣いた In a dream

Time passed me by
小さな嘘も覚えたね
君は今 怒る仕草もちがう

Far away
君が変わってゆく全てを
みつめていたいから
Fairy
それ以上離れていかないで
I'm waiting for you, look into my eyes

Moonlight magic
(月明かりの魔法)
So many shooting stars
(たくさんの流れ星)

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登


幼い頃から、男の子にまじって遊んでました。キャッチ・ボールもドッジ・ボールもテニスも、とにかく、「女だから」手を抜かれると、ムカついていた(笑) もう、めためたに負けてもいいから、対等に闘ってもらいたくて。最初はびびっていた豪速球を、返せたり、受けられたりできるようになる――その、自分の側の進歩を楽しむのが好きなのです。がむしゃらに挑んでいっても、鼻で笑われちゃうくらい強い相手のほうが、挑戦のしがいがあるでしょう。相手に勝つことが重要ではなくて、どれだけ自分が進歩するかってのが重要。それを見るには、圧倒的に強い人がいい。……あ、また詩のテーマからずれてきた。――というような、負けず嫌いの幼い女の子がいたと思ってくださいまし。私の場合は、時間とともに、オヤジになってしまいましたが、この詩の女の子ははっとするようなエレガントな女性になりました(笑) 人は時と共に変わります。変わってゆくさまを、じっと変わらぬ愛情で見ていてくれる誰かがいたら、幸せですね。

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Spanish Blue
(遥か君を離れて)
(c) Mitsuko Komuro

コルドバ 乾いた風の広場
女達が裸足で踊るよ 君は今どこに
いくつも 恋の果実を食べて
綺麗になる娘の歌声 石畳の道

君の影 背中ごし振り返ると
金色の日ざし 幻をかき消す
君と夢見てたあの頃に戻れはしない
君を抱きしめたあの時に帰れない

To give to take (与えて 奪って) 人は誰も
To love to lose (愛して 失って) 一人きりで
心をいやしてゆく 誰かを愛すために
To give to take バルセロナから
To love to lose アンダルシアへ
君から遠くなって歩き続けてゆく

セビリア 路地から路地に響く祈りの声
カテドラルの鐘 君は今 何を
銀貨で明日を買えはしない
白い壁のまぶしさに瞳 閉じていた昨日

手の平にこぼれそうな淋しさたち
ポケットの中に見知らぬ国の地図が
君と見つめたい海の色 消えはしない
君と語りたい街の音 忘れない

To give to take 想い出とは
To love to lose 生きられない
心はさまようまま 誰かを愛すために

To give to take カルメンから
To love to lose サンタマリア
失くした君の笑顔 変わり続けてゆく

To give to take
To love to lose

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉・木根尚登


実は私は、まだ一度もスペインに行ったことがありません(笑) スペインに行ったことのある友達が、この詩を読んで「うそつき」と私を非難しました(^^; 当然のことですが、小説も詩も、想像の産物です。自己の体験を書いていたら、すぐにネタ切れになりまする。この曲を聴いて、なぜか「場所はスペインだ!」と決めた私は、スペインの地図とガイドブックを広げて、想像の旅をしてみました。旅をしているのは、私ではありません。ウツです。心傷ついてもなお求めてさまよう孤独なウツになったつもり(って、勝手に失恋させてごめんよ)で、いろんな町を巡りました(ウツはあずかり知らぬこと)。小説や詩を書くとき、私は心の中で、完璧に登場人物になりきってます。男になったり、おばあちゃんになったり、子供になったりしています。ブキミです。子供の頃から、ひとりで物語を空想して、時にはセリフをぶつぶつつぶやいてたりしました。ぼーっとしていている時間が今でも長いです。何かを考えているときは、口を開けて宙をみつめています。ブキミです。

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Fool on the Planet
(青く揺れる惑星に立って)
(c) Mitsuko Komuro

星の降る小高い丘まで
今すぐに君を連れて行く
窓越しじゃ物足りないから
できるだけ夜空の近くへ

つかみたい夢がある
じっとしてられない
訳もなくただ 追いかけたいのさ

You might think just a dream
(ただの夢だって 君は思うだろ)
地球という名の青く揺れる惑星に立って
Make a wish, make it true
(願って それを現実にするのさ)
光を捜そう
Like a fool, they said
(バカみたいだって みんなは言ったけど)
あきらめたくない forever

ただのdreamer 人は言うけれど
この地上にあふれる全ては
僕に似た昔の誰かが
夢見てはかなえてきたもの

見おろした街並みに
低く飛ぶ airplane
見失わないで追いかけたいのさ

You might think just a dream
時が巡ってもきっと人は惑星に立って
Make a wish, make it true
想いを描くよ
Like a fool, they said
捜し続けてく forever

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登


「じっとしてられない」「わけもなく追いかけたい」凝り性の人って、そういう気持ちになることが多いのではないかなあと思います。何かを思いつくと、止まらなくなる。んで、とにかく想像したゴールに到達するまで、没頭してしまう。そして、はっと気づくと、けっこうすごいことをやり遂げちゃってたよ……てなこともあります。好奇心、探求心、過程をおもしろがれる余裕ってのが、人と違うことをやり遂げるときに、けっこう大事かなあと思います。昔からの仕事仲間に「君は、単におもしろいことだけ、やってきちゃったんだね。それで、食えてこれたんだから、ラッキーだ」と言われます。ほんと、その通り。RPGのゲームにハマるのとあまり変わりがない好奇心と集中力だけで、生きてきちゃいました。恐ろしいことです。興味が毎回とっちらかっているうえ、ちょっと飽きっぽいので、たいした人物にはなれませんでしたが、おもしろく生きてはこれました。興味と探求の対象が一貫して一点にしぼられている人は、その分野で大成するのでしょう。すごいなと思う。一生「虫」だけ見てる人とか、「数式」だけを探求してる人とか。そういう人たちが、「不可能とされたもろもろのこと」を、「可能なもの」に変えてくれたのです。その恩恵で文明は成り立っている。「飛ぶこと」に執着した人、「電気」という見えないものに執着した人……成功するまで、周りからはある種の「変人」だと思われたりしてた。パラノイアをあなどってはいけませぬ(?)。

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