CHASE IN LABYRINTH
(闇のラビリンス)
(c) Mitsuko Komuro

闇のラビリンス ドアからドア駆け抜け
崩れ落ちてくる 壁から壁 くぐって

背中に迫るあの声に振り向かずに キャロル
奪われた僕らのメロディ とりもどすのさ いつか
ふたりならば怖くはない
She can never sing a song for you
(彼女は君のために歌う事が二度とできないよ)

明け方のリズム 陽気な dancing 誰かのハミング
きのうまで生きてた 街の音が消えてく
立ち去るピアニスト うつむいてるギタリスト
君の歌声を待ち続けているだけ

You're standing in the darkness now
(君は今暗闇の中に立っている)
and you don't know how long you have to be
(そしていつまでそうするべきなのかもわからない)
Just keep on callin' me in soul
(ただ魂で僕を呼び続けて)
Someday somehow I'll find you out
(いつかなんとかして君を見つけ出すから)

キャロル君だけが歌える この闇さえ越えて
キャロル君だけが救える 惑わされた街を

いつものギグ・タイム 浮かれた shouting singing star
きのうまで生きてた 街の音が消えてく

You're standing in the darkness now
and you don't know how long you have to be
Just keep on callin' me in soul
Someday somehow I'll find you out

キャロル君を連れ出したい ラビリンスを抜けて
キャロル歌い続けていて 見失わぬように

キャロル君だけが歌える この闇さえ越えて
キャロル君だけが救える 惑わされた街を

背中に迫るあの声に 振り向かずに キャロル
奪われた僕らのメロディ とりもどすのさ いつか
ふたりならば怖くはない

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登


懐かしいだけでなく、いろんな体験をさせてもらった、貴重なアルバムです。このRECがきっかけで、ロンドンにハマりました。ロンドンの街もすばらしかったけれど、このアルバムをRECしたスタジオもまた、由緒あるスタジオ(後に別な場所に移転しまいましたが、当時はロンドンの中心にある古いビルの中にありました)ですばらしい体験をさせてもらいました。ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティンがオーナー。後に自分のアルバム「Say You Want Me」のミックスでこのスタジオを使った時、ジョージ・マーティンが入ってきて、挨拶してくれました。私のプロデューサーはかちんこちん。「神様に会えた…」とうわごとのようにつぶやいていました。一番大きなスタジオの隅には、ビートルズが使った古い古い4チャンネルのレコーダーが置いてあって、「こ、こんなとこに、ぽんと置いていてええんかいっ!」と驚きました。思わず、「ああ、これにポールが触ったんだ、ジョンが触ったんだ」って思って、私も指でなぞってきました。その頃、てっちゃんがユンカースを飼い始めていて、スタジオの廊下で、ユンカースがうんちをしてたりしました。スタジオのスタッフも苦笑い。かわいかったです(笑)。

1ヶ月くらい滞在したので、思い出話にはことかきません。コメントが長くなりそう――というか、歌詞のことより、思い出話ばかりになりそうです。しかし、数回も続けてロンドンに行っているので、時系列が頭の中でごちゃごちゃです。間違いもあるかも…。TMとの長期海外RECは2度目で、メンバーやスタッフとの息もすっかり合っていて、本当に楽しいRECでした。LAと違って、夜もわりと安心して歩けるし、車は左側通行だから、無謀にもいきなりレンタカー借りて、毎晩、ロンドンの街で迷っては、突然現れる美しい歴史的建物に魅せられてました。歌詞がひとつできるごとに、ひとりでほっつき歩いていて、探検もそうとうできました。

この「CAROL」は、最初から「ミュージカル仕立て」って決まっていて、その頃ロンドンに住んでいたてっちゃんが、現地でCarol 役ができる女の子のオーディションもしてました。だいたいアルバムのコンセプトを考える時に、同時にステージもどんなふうになるかってのが決まっていたみたいです。毎夜、スタジオで、メンバーとみんなで、こんな感じのストーリーにしようって、話し合ってました。そして、曲ごとに、「これはこういうシーンで使おう」と決まっていって、それに合わせて歌詞を書きました。まだ見ぬステージを、私なりに想像して書いた覚えがあります。だから、東京に戻って、「Carol」のツアーを見たときは、感動しました。よくぞ、形にしたなあって。ツアーは私は観て聴くだけの人になりますが、制作においては特にこのアルバムは、みんなで作り上げたという達成感がありました。TMファンの方がメールで指摘してくれて思い出しましたが、「Still Love Her」では、私もコーラス参加してたんですね。

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GIA CORM FILLIPPO DIA
(DEVIL'S CARNIVAL)
(c) Mitsuko Komuro

Gia corm fillippo dia
Gia marle fillippo dia
Gia corm fillippo dia
Gia marle fillippo dia

愚かなる生き物たちを
闇に囲まれた 廃虚に導きたまえ

夢はうず高く 塵のように積もり
愛は色あせて 瓦礫に朽ち果て
終わることない destruction (破壊) 邪悪なるエナジー
無慈悲な夜の desperation(絶望) 絶望のカーニバル

Gia corm fillippo dia
Gia marle fillippo dia
Gia corm fillippo dia
Gia marle fillippo dia

この世界落ちてしまえば
信じることなど もう二度とできはしない

恋を歌うもの 月に呪われて
風を愛すもの 嵐にさらわれ
支配するのは destruction 憎しみがエナジー
汚れた夜の desperation 美しきカーニバル

夢はうず高く 塵のように積もり
愛は色あせて 瓦礫に朽ち果て
終わることない destruction 邪悪なるエナジー
無慈悲な夜の desperation 絶望のカーニバル

Welcome to our carnival, destruction
(我々のカーニバル、破壊へようこそ)
We're the ones to rule the world
(我々こそ世界を牛耳る者たち)
Sing and dance and pray for us, desperation
(我らのために歌え、踊れ、祈れ、絶望よ)
You can never see the end
(おまえたちは決して最後を見ることはできないだろう)

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登


闇の支配者の歌。呪いの言葉は、木根ちゃんが考えました。思いきり芝居がかった歌詞を書くのは初めてで、おもしろかったです。わざと堅い言いまわしにしてみたり。ミュージカルの歌詞を書くのって、こんな感じなのかな。悪魔になりきってみました(?)。

木根ちゃんもウツも、海外はあまり好きではなさそうです。私は、日本にいる時は、家にこもりがちなのに、知らない場所に行くとやたらに活動的になります。一方通行だらけで迷路のようなロンドンで、いきなりレンタカー借りてしまうのも、知らないからこそ楽しいという気持ちからでした。毎日RECが終わる明け方、冒険が始まります。いつもひとりで運転してました。道を覚えてないから、ホテルに行き着くまで、何度も迷子。でもそれが楽しい。まったく違う方向に行って、ふと、テームズ川のほとりに出た時は感動もんでした。昼間のテームズは汚いけれど、夜は美しいです。ちょうどBIG BEN のある場所に出て、車を止めて外に出た途端、鐘が鳴り出してまた感動。中世のままの建物が、ファンタジックでありました。今にも、馬車が現れそうなくらい幻想的な夜のロンドン。ホームズとかジキルとハイド氏とか、子供の頃読んで想像した世界がそこにあって、すごく幸せでした。

BIG BEN に感動したあまり、ある晩たまたま私の車に乗るはめになった木根ちゃんに、「ねえ、BIG BEN、見に行かない?」って誘ってみました。「あ、いいよ」というので、「じゃあ、ちょっと待ってね」と私ががさごそと地図を広げだしたら、「え? 場所知らないの?」って、木根ちゃんが泣きそうな顔をしたのを覚えています(^^;;; たまたま迷って行けたので、道を覚えてなかったのだった…。でも、無理矢理連れていって、BIG BEN の前で、鐘が鳴るまで待たせてしまいました(^^;;; ほんとは、「早く帰りてーよー」って思っていたんだろうな…。ごめんなさい、木根ちゃん。でも、鐘を聴いたら、感動してくれました(と、信じている)。

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BEYOND THE TIME
(EXPANDED VERSION)
(c) Mitsuko Komuro

You belong to me (君は僕のもの) サヨナラ言えなくて
いつまでも 抱き締めたかった
I belong to you (僕は君のもの) 張り裂けそうになる
この胸を 君に差し出して

We belong to Earth (僕らは地球のもの) 遥かな宇宙のもと
コバルトに 光る地球(ほし)がある
悲しみは そこから始まって
愛しさが そこに帰るのさ

ああ メビウスの輪から抜け出せなくて
いくつもの罪を繰り返す

平和より自由より正しさより
君だけが望む全てだから
離れても変わっても見失っても
輝きを消さないで

You can change your destiny 時の向こう
(運命は変えられるよ)
You can change your future 闇の向こう
(未来は変えられるよ)
We can share the happiness 捜してゆく
(幸福は分け合えるさ)
許し合えるその日を

夢という 風に導かれて
あやまちの 船に揺られてく
We belong to Earth 生きてゆけるのなら
いつかまた 戻れる日がある

ああ メビウスの輪から引き寄せられて
いくつもの出会い繰り返す
Beyond the time

希望より理想より憧れより
君だけが真実 つかんでいた
はかなくて激しくて偽りない
まなざしを閉じないで
You can change your destiny 時の向こう
You can change your future 闇の向こう
We can share the happiness 捜してゆく
愛し合ったあの日を

You can change your destiny 時の向こう
You can change your future 闇の向こう

ああ もう一度君に
巡り合えるなら
メビウスの宇宙を
越えて Beyond the time (時を越えて)

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


この曲の歌詞は、ロンドンで書いた覚えがありません…。みなさま御存知の、映画ガンダム「逆襲のシャア」のテーマ曲。タイアップがついていたので、たぶん、日本で早めに歌詞を書いたような気がします。実は、私はアニメはあんまり見ません。宮崎駿さん関係とかは、一時期ハマりましたが。ガンダムも知りませんでした。なので、この歌詞を書くために、関係者が私にそれまでのガンダムのビデオをくれました。それを見て、ガンダムの世界を勉強しました。……だけど、登場人物も多いし、なにやら複雑な話だったので、「???」って最初は当惑してました(って、書くと、ガンダムが好きな人に怒られそう)。結局、ストーリー自体を完璧に把握しきれなかったように思えます。ただ、普遍的なテーマとして、「人間は罪を繰り返していく」ということと、「自由と平和という大仰な名目よりも、結局は人間て、個人的に愛する誰かのために戦うんじゃないかな。そして、未来を決めるのも、意志の問題だろう」っていうのがテーマでいいかなあと、勝手に決めて(^^;;;、こんな感じの歌詞になりました。結果的に関係者の方たちに喜んでもらえて、ホッとしましたです。その後、アニメもちょっと見るようになりました。押井守さんの「パトレイバー」とか、すごいですね。「Seven Days War」とこの曲は、特に大好きです。アレンジも、今聴いても胸騒ぎするくらいカッコよいです。

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SEVEN DAYS WAR
(FOUR PIECES BAND MIX)
(c) Mitsuko Komuro

"Revolution " ノートに書きとめた言葉
明日をさえぎる壁 のり越えてゆくこと

割れたガラスの破片 机の上のナイフの傷
理由(わけ)を話せないまま 閉ざされたドア叩いていた

すべてを壊すのではなく 何かを捜したいだけ
すべてに背くのではなく 自分で選びたいだけ

Seven days war 闘うよ
僕たちの場所 この手でつかむまで
Seven days war, Get place to live (生きる場所を手に入れろ)
ただ素直に生きるために

"Communication" 届かない声
つぶれたシューズ ちぎれたシャツ
ルールと正しさの意味 わからないまま従えない

誰かと争うのではなく 自分をみつけたいだけ
誰かを憎むのではなく 想いを伝えたいだけ

Seven days war 闘うよ
僕たちの場所 誰にもゆずれない
Seven days war, Get place to live
うつむかず生きるために

Seven days war 闘うよ
僕たちの場所 この手で So do it now (だから今やるのさ)
Seven days war, Get place to live
ただ素直に生きるために

Seven days war 闘うよ
僕たちの場所 誰にも I'll never give up (あきらめはしない)
Seven days war, Get place to live
うつむかず生きるために

Seven days war 闘うよ
ただ素直に生きるために

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


この曲もタイアップがついてました。角川映画「僕らの7日間戦争」。これは、ロンドンで書きました。ただ、Carol のREC とは別に、ロンドンに行ったような気がします(うろ覚え)。ロンドンに向かう飛行機の中で日本でもらったデモテープを聴いてメロを覚えました。――が、スタジオに着いて、てっちゃんが作業している曲を聴いたら、アレンジがデモと全く違うので、大焦りしたのを覚えてます。どこまでもより良いサウンドの追求をし続ける人なんだなあと、感心しました。ロンドンに角川映画のスタッフが来ていて、ストーリーは、台本をもらって理解した……と思うんだけど、ここらへんになると記憶が曖昧です。もしかしたら、途中のラフな映像を見せてもらったかもしれません。歌詞を見せたら、角川映画の方が、「こんなに映画に沿った歌詞を書いてもらっていいんですか」って驚かれたんだけど、私としては、テーマを一から考え出すより、すでにストーリーからテーマまで決まっているほうが、歌詞を書く上でずっと楽ではありました。ただ曲を渡されて、テーマお任せってほうが、すごく苦しみます。その意味では、「Human System」のアルバムは、お任せが多かったので、大変でした。「Carol」は、ほとんどがテーマが最初にありきだったので、絵も見えていて、苦しみより楽しみの方が多かったです。

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YOU'RE THE BEST
(c) Mitsuko Komuro

Don't forget, Don't forget (忘れないで 忘れないで)
Nobody, Nobody
is the same as you wow wow wow
(誰も君と同じじゃない)

Don't worry Don't worry (心配しないで 心配しないで)
I got it, I got it
You're the one, You're the best
(君が一番さ、わかってる)

Don't forget, Don't forget
Nobody, Nobody
is born like you wow wow wow
(誰も君と同じように生まれちゃいない)

Don't worry Don't worry
I got it I got it
You're the one, You're the best

ビルの陰 階段に 窓ガラス 君はほおづえ
同じもの欲しくない 同じことしたくない
他人と違う 違っている ささやく声振り払って
形の変わる雲の流れ 物憂げな目 追い掛ける

回る 戻る 迷い続ける 人の中で
君は 君は いつも輝く ひとりきりで

言葉に立ち止まらないで
You're the one, You're the best
スタイルに流されないで
Wow wow wow my girl
君は誰よりもキレイさ
You're the one, You're the best
君は誰よりも確かさ
Wow wow wow You will be yours (君は君のものだよ)

誰もいない空き地にも 君の書いた文字が残る
同じ夢見たくない 同じ日々望まない

夜と 朝と 吐息の数に 揺れる街で
君は 君は 君だけのもの ひとりきりで

若さを持て余さないで
You're the one You're the best
いたずらに失わないで
Wow wow wow my girl, my girl
心はすぐにサビつくよ
You're the one You're the best
君は一番 そのままで
Wow wow wow my girl

心は転がり続けて 回転速度早めて
寂しささえ 追いつけない
悲しみさえ 追い越せない

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


このアルバムの中で、「Winter Comes Around」とこの曲が、「お任せテーマ」の曲でした。だから、かなり悩んだ覚えがあります。この曲のタイトルを言われただけで、ロンドンの空を思い出してしまう。Swiss Cottage という場所にあるアメリカンなホテルに、ずっと滞在してたんだけど、近くにある小高い丘に散歩に行って、いろんなこと考えたりしてました。その丘で見た空が浮かびます。きっと、この歌詞のテーマを考えている時に、その丘にいたのかも。

ロンドンですごく自由な気持ちになれたのは、やっぱり、ロンドンの雑多な雰囲気かもしれません。ニューウェイブ(もう死語ですねー)と総じて呼ばれた、イギリス(アイルランドも含まれてましたが)のバンドが、雨後のたけのこのように、日本にやってきた時代、アメリカのウェストコースト・ロックで育った私も、すっかりイギリス系のバンドにはまりました。1年に何十のバンドを東京で見ましたっけ。U2なんて、渋谷公会堂で見た……今思うと、すごい。そういう新しい波を次々と生み出すイギリスに、憧れてました。
伝統を守る保守的なものと、それを打ち破り、越えていこうとするアナーキーな空気が、共存している街。音楽的な開拓者(反逆者?)が出るのがイギリスなのは、たぶん、伝統的なものが堅固に頑迷に存在し続けるからこそなのかなって思います。お酒が飲めない私も、ロンドンの風習に従い、昼間からスタジオのスタッフと近くのパブに行ったりしました。いつか大物のエンジニアになる夢を持つ若いスタッフと、音楽の話もいろいろしました。「ポールが好きなヤツと、ジョンが好きなヤツでは、音楽的に決定的に別れるね」って、ビートルズ世代じゃない青年スタッフが熱心に語っていたりして。バンドのライブもここぞとばかりにいろいろ行きました。小説のネタもいろいろ拾いました。ほんとうに「おいしい」体験ができたロンドンは、未だ大好きな街です。

そんなわけで音楽にどっぷりつかったロンドンは、いろいろと勉強にもなったし、わくわくする体験もしました。スタジオのロビーで、のんびりひとりでスヌーカー(ビリヤード)をするエルビス・コステロと言葉も交わしました。と書くとカッコいいけど、実は、ロビーの端にある水道の蛇口が堅くて、水が止まらなくなり、誰もいなかったので、コステロさまに「蛇口しめてくださいー」と泣きついたという、恥ずかしい体験でありました。気のいいコステロさまは、必死に蛇口を閉めようとしてくれたけど、途中で、「だめ。これ、堅すぎ。壊れてるわ」と諦めました。「どうもありがとう」と言いつつ、天下のコステロさまに、何を頼んだんだか…と、心の中で焦っていた私です。でも、今となっては、すてきな思い出どす。

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WINTER COMES AROUND
(冬の一日)
(c) Mitsuko Komuro

うずくまるハトと 凍る街路樹
急ぎ足の誰か 広場を抜けて

冬がめぐる街のどこかに 君が確かに生きている
石につまづくようにたやすく 一度は出会った

君を失うはずはない
人混みに問いかけても
分け合えなかった日々は
風にさらわれ
Winter comes around (冬が巡り来る)

欠けたレンガの壁の色も 夜を迎えるたび変わる
あの日君を抱きとめたまま 時が止まれば

You might have brought me something good
(君は僕にすてきな何かをもたらしてくれたかもしれないのに)
Why didn't you let me know what it was
(それがなんだったのか、どうして教えてくれなかったの)
I believe we could have been together
(僕たちは一緒にいられたって信じてる)
Oh I need you so much
(君がとっても必要なんだ)
I'll never say good bye
(さよならなんて言わない)

君を失うはずはない
人混みに答えもなく
分け合えなかった日々を
届けて君に
and Winter comes around
I'll never say good bye

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登


この歌詞は、ロンドンにいたからこそ、書けたような気がします。冬のロンドンの寒さと言ったら、半端じゃありません。NYもすごかったけど、ロンドンも死ぬかと思った。ロンドンの街で好きなもののひとつは、小さな小さな公園が、そこここにあること。心が安らぐ緑が多い。お昼になると、ベンチでサンドイッチをぱくつくOLさんとかサラリーマンの人がいて、その周りにハトが寄ってくる。でも、冬の日は、曇りがちで公園にもなかなか陽が差し込んでくれませぬ。レンガの壁も冷え冷えとして、人々の顔も、なんか陰鬱に見える。そんな風景を見たから、書けたのかなって思います。メロディがすごく好き。木根ちゃんの傑作のひとつですね。そして、ウツのヴォーカル、泣けます。
この曲を聴くたび、あるスタッフのことを思い出してしまいます。歌入れをしていたある日。ウツがどんどん曲に入り込んできたなあって思ったとたん、スタッフのひとりが、スタジオから突然出ていってしまいました。「???」って思って、後で「どうしたの?」って聴いたら、すごく恥ずかしそうにむくれた顔して、「…ちょっと、個人的なこと思い出してね、うるっと来たんだよ。つらいから、もう聞かないでくれ」って答えてくれました。おお。そういや、確かにあの時、彼の目が赤くなっていた…。「ウツやったね。スタッフを泣かせるくらいよかったんだよ!」と、密かに心の中でにんまりした私は、ひどいヤツです。

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IN THE FOREST
(君の声が聞こえる)
(c) Mitsuko Komuro

目を閉じて耳すませば あの娘の足音聞こえる
深い森にさまよって 僕たちを探してる
みちびく光を与えて 汚れなき星たちよ
疲れた踵を包んで 柔らかな青草よ

心惑わすもの dark of dark (闇の中の闇)
闇に身を隠して silent night (沈黙した夜)
君を待ち構える deep and deep (深みの中の深みで)
夢を奪うために Stop there Just look at me now (そこで立ち止まって僕を見ろ)

You came here (君はここに来た) 城壁に
Can't go back (戻れはしない) 樹の幹に
No way out (出口はない) 息遣い
Stay with me (僕と一緒に留まれ) 感じるよ

すぐそこに 君がいる
この森の 向こう側
すぐこそに 君がいる
出会えずに 気付かずに

岩陰にくずれるように 眠りに落ちてく 今夜も
あの娘に行き先伝えて 遠くからムーン・ライト

行く手さえぎるもの dark of dark
膝をつく旅人 silent night
迷い誘い込むよ deep and deep
闇を抜け出せない Stop there Just look at me now

Take your time (ゆっくりやるんだ) 霧の中
To get something (何かを得るために) 風の中
You alone (君一人だけが) ぬくもりを
Save this world (世界を救う) 感じるよ

すぐそこに 君がいる
この森の 向こう側
すぐこそに 君がいる
出会えずに 気付かずに

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


近年「RENT」で、本格的なミュージカルに挑戦したウツを見ましたが、この時すでにミュージカルをやってたんだなって思いました。木根ちゃんがまだストーリーを書いてない時点だったので、ディテールのないままシーンを想像して書きました。森の中でさまよCarol と、彼女を呼ぶウツの声。楽しい作業でした。

ああ、いろいろと思い出していたら、ロンドンに行きたくなりました…。一時期本当によく行ったなあ。RECの後も、ひとりで何度も行きました。一度は、Donington で行われたオートバイの世界GPまで見に行っていた…。エディー・ローソンとかの時代です。ロンドンから車を延々と飛ばして4時間。毎日通ったバカ者です。日本の鈴鹿で行われた世界GPに参加したあるイタリア・チームの手伝いをして、GPにはまりました(その時イタリア語がわからず1週間でノイローゼになったので、くやしくてその後イタリア語を習い始めました)。自分でも400CCのバイクに乗っていたので、本物のGPを見られるだけで最高でした。そのチームのつてで、PIT に入れるパスをもらい、レース場をうろうろ歩いたり。ワークスのチームじゃないから、私みたいな素人でも手伝い(というか、ただのパシリですけど)ができたんだけど。人間を見るのが大好きです。レーサーより、オイルまみれになって黙々と働くメカニックの人たちを見るのが好きでした。ヨーロッパのGPは、移動カーニバルみたいです。みんな、キャンピングカーで移動して、レース場にテントを張る。ドゥカッティの音が好きでした。今でも憧れ。知り合いのチームのマシンはHONDA。当時でも1台7千万円もするやつで、それを毎回バラバラにしていくメカニックの人に、感嘆してました。…あれ? 音楽と全然違う話になっちゃった…。

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CAROL
(CAROL'S THEME II)
(c) Mitsuko Komuro

I can hear you singing (あなたの歌声が聞こえる)
Somewhere in the forest (この森のどこかで)
Who are you? (あなたは誰?)
Would you let me know (教えて)

I don't know why I'm here (どうしてここにいるのかわからないの)
I don't know what to do (何をすべきなのかわからないの)
and where to go (そしてどこへ行くべきなのかも)
Would you let me know (ねえ教えて)

たとえかすかでも その耳にとらえて
どこかこの森に 生き続けるメロディ
心閉ざさずにいて 苦しみはいつか強さにも変わる
腕を伸ばせば ここに僕たちがいるよ
君と今出会う Tonight

You came here 城壁に
Can't go back 樹の幹に
No way out 息遣い
Stay with me 感じるよ

すぐそこに 君がいる
この森の 向こう側
すぐそこに 君がいる
出会えずに 気付かずに

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


ウツとCarol役の女性とのかけあいの歌です。BBSで、「なんで、Carol のTheme 1は小室哲哉さん作詞で、2がみっこさんと、別々なんですか」って聞かれました。そういえば、ほんとに……なんででしょう? と、記憶回路が途切れています。思い出せません。ごめんなさい。ほんとに、遠い昔のことなので、忘れてしまったことが多いですね。私は単に、「この曲作詞してね」って言われてやっていたので、選ぶ立場にはいません。だから何故なのか覚えていないのかも…。

TM のアルバムで、累積で一番売れたアルバムがこの「Carol」なんですね。わりと最近、教えてもらいました。このアルバムを聴いていた、中学生、高校生たちが、今はもうりっぱな大人だなんて……はう(涙) このアルバムに歌詞を書いていた頃は、ただただ使命をまっとうするのと、街の探検に夢中になっていて、実際どんな人たちがアルバムを買って聴いてくれているのかなんて、想像する余地もありませんでした。何年もたって、こうして、HPを立ち上げて、メールやBBSで、初めてそういう人たちをリアルに感じることができました。出会うことができました。すごく不思議な感じです。私より、私が書いた歌詞を覚えているし(おい)。もちろん、TM のメンバーの歴史を、私より深くくわしく知っています。そういう人たちの思いをメールやBBSで読んで、何年も経って、初めて、自分がしてきたことにちょっと誇りを持てたような気がします。ありがとう。

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